ビューティ・コラムcolumn
第97回 徹底解説ニキビ2:ビタミンABCを用いたニキビの治療法:毛穴ケアとの同じと違い
徹底解説ニキビ2:ビタミンABCを用いたニキビの治療法:毛穴ケアとの同じと違い
ビタミンABCがニキビの治療に非常に適しているということはABCアンチアクネコース登場、前回のコラムで述べました。ビタミンABCの効率的な使用法について述べます。ここで大切なポイントを述べます。
ニキビの発症条件は次の4つです
1. 皮脂の過剰分泌(主な原因)2. アクネ菌3. 毛穴閉塞4. 炎症
皮脂の分泌が過剰になると当然毛穴が開きアクネ菌が増加します。でもそれだけではニキビにならないのです。毛穴が閉塞して嫌気性環境になり、アクネ菌がキャンプファクターをいう毒素の産生を開始することによって、ヒトはキャンプファクターに対して炎症を起こしニキビを発症するのです。毛穴の閉塞を起こすのは増殖した表皮と角層です。毛穴の閉塞をさらに強固にするのが、皮脂と角層が混合した角栓です。ニキビの発症を模式的に下に示します。
ビタミンABCの作用は1. 皮脂分泌抑制2. アクネ菌減少3. 毛穴閉塞抑制4. 炎症抑制
以上のようにニキビの発症条件すべてを抑えるのです。さらに皮脂分泌を抑制するには男性ホルモンを抑制するスピノロラクトンの内服やフラクショナルレーザーであるピクセルが適応になります。毛穴レスローションには男性ホルモンを抑制する植物エキスも配合してあります。ビタミンABCの毛穴閉塞抑制作用は穏やかなので、外用だけで効果が望めない場合はアクネ菌ケミカルピーリングやディープピーリング作用を有するピクセルを併用すればいいのです。またビタミンABCはアクネ菌の餌になる皮脂の分泌を減少させてアクネ菌を低下させますが、さらに低下させるためには抗生物質の内服や外用あるいは抗菌剤を直接注射する抗菌メソセラピーを行えばいいのです。炎症が激しいニキビに対してはビタミンC、ビタミンCとB群(集中毛穴レスコース)、ビタミンABC(ABC毛穴レスコース)が適応となります。さらに、高濃度ビタミンCやB群を皮脂腺に直接注射するアンチアクネメソセラピーが強力かつ即効性の抗炎症作用を発揮します。すなわち理想のニキビの治療は“ビタミンABCを中心とした治療”ということになります。
一方毛穴の開きの原因は
1. 皮脂の過剰分泌(主な原因)2. 毛穴の周囲のコラーゲンなどの組織の衰え(加齢、炎症やストレスなどによる)3. アクネ菌4. 遊離脂肪酸などによる炎症(毛穴の出口のへこみと広がり)
上記1,2は主として炎症を生じていない赤くない皮膚に生じた毛穴の開きの原因です。
上が赤くない皮膚に生じる一般的な毛穴の開きの模式図です。皮脂の分泌が著しく増加すると、毛穴の周囲のコラーゲンなどの組織の衰えがなくても毛穴は開きます。もう一つのタイプの毛穴の開きはニキビや脂漏性皮膚炎あるいは酒さなどの炎症に伴うものです。アクネ菌が増加して、アクネ菌が産生する皮脂の分解酵素リパーゼにより生じた遊離脂肪酸が炎症を起こした場合の毛穴の開きなどがあります。アクネ菌のリパーゼは皮脂の中性脂肪であるトリグリセリドを分解してオレイン酸などの遊離脂肪酸を生じます。オレイン酸などは表皮細胞において、IL1βという炎症と増殖を引き起こすサイトカインの分泌を促進して、毛穴の出口の表皮細胞層を厚くします。その時出口の閉塞が起こらないように毛穴周囲の表皮細胞は外に広がり半球状にへこみます。ニキビはないのですが、毛穴を中心に赤みが広がります。
上は炎症を伴うタイプの毛穴の開きの模式図です。実際には二つのタイプの毛穴の開きは、明確に分かれずにミックスして存在します。
上は炎症とニキビを伴う毛穴の開きです。脂漏性皮膚炎とニキビの方の皮膚です。ほとんどの毛穴は赤みを伴い開いていますが、一部の毛穴は赤みを伴わずに開いています。ニキビも散在しています。ニキビと毛穴の開きは皮脂の過剰分泌という共通の原因の上に発症することがよく理解できます。だから一緒に症状が出現するのです。
ビタミンABCの作用は、
皮脂分泌抑制コラーゲン合成促進アクネ菌低下遊離脂肪酸減少、炎症抑制
と毛穴の開きを引き起こす要素をすべて抑制します。もう一度ニキビの条件と毛穴の条件を比べてみましょう。
ニキビの条件1.皮脂分泌増加2.毛穴閉塞3.アクネ菌4.炎症
毛穴の開きの条件
1皮脂分泌増加2毛穴周囲のコラーゲンの衰え3アクネ菌4炎症
ニキビの発症と毛穴の発症の条件はそれぞれ4つの要素のうち3つが共通です。ここで非常に大切なことが見えてきます。ニキビも毛穴の開きも皮脂の過剰分泌という要素が発症の中心となっています。ニキビだけの条件として毛穴の閉塞、毛穴の開きだけの原因として毛穴周囲のコラーゲンの衰えがあります。毛穴の閉塞が起こらないとニキビはおきません。
皮脂分泌が増加しただけでは、毛穴は開いてもニキビは生じずに、毛穴が開くだけなのです。一方毛穴の開きだけの条件として毛穴周囲のコラーゲンの衰えがあります。この条件は毛穴の開きを生じるためのメインではなく、サブです。皮脂分泌の過剰が非常に高くなるとコラーゲンの衰えがなくても毛穴は開きます。たとえば十代の毛穴の開きや食生活の乱れによる毛穴の開きです。
上は毛穴の開きと赤身で受診された十代の女性の頬です。毛穴は著明に開いていますが、ニキビはありません。毛穴の中に大量の皮脂が存在しています。
ストレスや加齢でコラーゲンが減ると皮脂の分泌が少し増加しただけでも毛穴は開きます。またニキビ発症の条件に、コラーゲンの衰えは入っていませんが、実際には毛穴を中心とする炎症や交感神経緊張による血流低下によりほとんどの患者さんで毛穴周囲のコラーゲンは衰えています。そしてビタミンABCはコラーゲンの衰えを抑制して、コラーゲンの合成を促進します。したがってビタミンABCはニキビにも毛穴の開きにも有効ということになります。ビタミンABCの治療だけで毛穴の縮小が望めない場合、さらに効果を発揮する治療としてより強力に皮脂分泌を抑制し、コラーゲン合成を促進して毛穴を閉じるボツリヌス毒素製剤を皮脂腺に直接注入するニューロノックスがあります。コラーゲンの合成を促進する治療としてはジェネシスがあります。
まとめビタミンABCはニキビと毛穴の開き両方に有効な治療法です。重症のニキビの場合は毛穴の閉塞を抑制するケミカルピーリングやピクセルなどの治療、アクネ菌を除去する抗菌剤などのよる治療や炎症を抑制するアンチアクネメソセラピーなどの併用が必要です。重症の毛穴の開きの場合にはニューロノックスの注射が有効である。ニキビや毛穴の開きでコラーゲンの衰えが目立つ場合にはコラーゲンの合成を促進するジェネシスピクセルなどの光線療法があります。ピクセルは強力なピーリング作用と炎症抑制作用もあります。
結論ビタミンABCはニキビ、毛穴の開き二つの皮膚トラブルの治療に際して、核となる治療法です。症状や治療効果に応じて適時必要な治療を併用すれば速やかな治療効果が得られます。ABCアンチアクネコースはABC毛穴レスコースの抗炎症作用と皮脂分泌抑制作用をさらにアップさせた治療法です。高濃度ビタミンABC、皮脂分泌を抑制するリコカルコンA、炎症を抑えるオリゴノールをイオン導入で皮膚の奥深くまで浸透させます。導入時の電圧をアップしてより大量の有効成分を導入することも可能です。導入時にお申し付けください。