ビューティ・コラムcolumn
第82回 ニキビの治療法:ジェネシスの作用について
さて、ニキビは活性酸素病で、高濃度ビタミンCが効果的と前回述べました。ここで、ジェネシスについて述べましょう。ジェネシスはヤグレーザーとも言われ、波長1064nm の 赤外線レーザーです。反応するのは、赤いヘモグロビン、 赤いへム色素を持つミトコンドリア、そしてメラニンです。眼に見える開いた血管、皮膚にジェネシスを当て十分に冷却した後出力を上げて打つと血管がなくなります。(数回の照射が必要です。)左側の>型の血管が消失しています。
この血管消失のメカニズムは、ジェネシスが血管内を流れる赤血球を熱で破壊して、その熱エネルギーが血管壁を破壊するために起こります。
ですから、血管が見えないような赤ら顔に、皮膚を冷やし出力を上げて照射しても、血管が細く、血管内の赤血球も少ないので血管の破壊は起こらず、赤ら顔はなかなか治りません。この方法とは異なり、ジェネシスの出力を下げて、ジェネシスの先端を肌から離して、中空照射する方法があります。 これは、血管の破壊を起こさず、赤いヘム色素を持つ細胞の発電機であるミトコンドリアを活性化して、肌の代謝があがります。いわゆる、肌の若返りが起こります。
図が小さくて恐縮ですが、右上が照射前、左下が、照射1週間語です。 ピンクのコラーゲンが大幅に増ええています。 これはミトコンドリアの活性化で起こります。
NHK出版「ミトコンドリアはどこからきたか」という本の表紙です。右側の写真に赤いミトコンドリアがたくさんあります。ミトコンドリアは赤血球以外のすべての細胞にあります。ニキビの炎症性細胞や皮脂腺にもあります。
ニキビの炎症性細胞にはミトコンドリアがあり、活性酸素やサイトカインが産生され、外から侵入してきた細菌やウィルスをやっつける役割を担っています。
皮膚にたくさんある炎症性細胞にジェネシスを低出力で照射するとミトコンドリアが活性化し、活性酸素やサイトカインがたくさん放出され炎症が激しくなります。当然ニキビは悪化します。
大きいニキビにジェネシスをたくさん照射したら、悪くなったという患者様がいらっしゃいました。どうしてでしょう? 大きいニキビには炎症性細胞がたくさんあります。そこにジェネシスを大量に照射すると、ミトコンドリアの熱により、細胞が破裂し園主を起こすサイトカインや活性酸素が大量に放出され、皮膚に激しい炎症を起こすのです。活性酸素などにより、周囲の組織も破壊され、皮膚は陥没しクレーターを形成します。
ジェネシスは赤に反応することを利用して、開いた血管の治療、皮膚の若返りに有効ですし、メラニンにも反応するので、レーザー脱毛に使える、非常に有用なレーザーです。青山ヒフ科クリニックでは、患者様の悩み、治療目的に応じて、使い分けております。ジェネシスは使い方を間違えると、皮膚トラブルを起こします。 使用する際には、十分注意しながら、肌に照射しております。