ビューティ・コラムcolumn

第63回 どうしてオイリースキンでも潤いがないの?

自分ではオイリースキンだと思っていても、肌の潤いを感じないという方がたくさん来院しています。こういう方は毛穴が開いたり、ニキビがあります。ニキビがある人と健康な人の角層の水分量を測定すると、ニキビがある人の方が水分量が少ないという報告が学会でありました。私なりに、なぜニキビの方の水分量が少ないのか考えてみました。水分は皮膚の深いところから表面に向かい表皮細胞に栄養を与えたのちに、皮膚の表面から蒸発していきます。皮膚の水分はかなりの速さで蒸発します。水分の蒸発を抑え、角層の水分を保つのに重要な役割を果たすのが角層に存在するセラミドなどの角質細胞間脂質やアミノ酸などの天然保湿因子(NMF)です。角層に十分な量と質のセラミドやアミノ酸がないと角層の水分は低下してきます。皮脂膜は蒸発する水分を捕まえる力を持っていますが、その力は角層より劣ります。下の図は正常な肌を示しています。

ストレスがあると皮脂の分泌は増加し、皮脂膜は厚くなります。しかしストレスは体内で、ビタミンC、Bとの低下やマグネシウムやカルシウムなどの低下を引き起こします。これらの物質の低下や血流が下がることにより、角層はもろくなります。皮脂を餌とするアクネ菌も増加し、アクネ菌の毒素や前回のコラムでお話したサブスタンスPも角層のダメージを増大します。ダメージを受けた角層は水分を保持する力が低下し、皮膚の表面からどんどん水分が蒸発してしまいます。ですから、オイリー感はあるけれども潤いのない肌になってしまうのです。

この状態を改善するには、ストレスを減らす工夫をするだけでなく、ビタミン類やミネラルを体内や肌から補給すること、そして天然保湿因子やセラミドなどの角質細胞間脂質をスキンケア等で肌に供給しつつ、皮脂の分泌を適度に抑えることが必要です。ニキビの治療のために皮脂の分泌を抑えるスキンケアだけを行うと肌は乾燥してしまいます。皮脂の分泌を抑えつつ、しっかりした角層を構築することが、毛穴の引き締まった潤いのある肌を実現するのです。たとえば、皮脂の分泌を抑えるアンチアクネローションがオススメです。これらの成分を電気穿孔法で大量に皮膚に導入するのがメソセラピーです。毛穴が引き締まり、しっとりした、しなやかな肌がより高いレベルで実現します。青山ヒフ科クリニックでは一人ひとりの患者様の肌質を診ながら、最善のトリートメントを提案していきます。