ビューティ・コラムcolumn

第18回 ニキビ撲滅大作戦<その3> ニキビを徹底的に直すには

前回ニキビにとって細菌は像悪因子ではあるけれども、必須因子ではないと解説しました。ニキビは純粋な意味の感染症ではなく、皮脂の過剰分泌を背景として、そこに細菌が像悪因子として関与する活性酸素病なのです。ですから重症のニキビの場合は活性酸素を消去する高濃度ビタミンCの外用や内服、細菌をやっつける抗生物質の内服、そしてホルモンバランスの調整剤(男性ホルモンのレベルを下げて、エストロゲンのレベルを上げる)、そしてストレスを緩和する精神安定剤などを使用します。また皮脂の排出をスムーズにするビタミンAの外用、肌質にあわせたケミカルピーリングを行います。私は患者さんの肌の調子を見るために必ず肌を触診してから、ピーリングに使用するフルーツ酸の濃度を決定します。そして患者さんには適切な洗顔と、皮脂の原料になる、チョコレートやケーキなどの脂っこいものを避けるように指導します。そして患者さんにはニキビができるのは、患者さんが繊細でナイーブな心を持っているからですよとポジティブな精神的指導をします。このような治療をすることによって皮脂の分泌量が低下すると、皮脂をえさとし毛穴で生活している細菌はえさがなくなるために、その数がどんどん少なくなってきます。その結果細菌のリパーゼ由来の活性酸素も当然減ってきます。また細胞から詰まっては大変と分泌されるリパーゼも減ってきます。その結果さらに細胞のリパーゼ由来の活性酸素も減ってきます。その結果重症の場合には必用であった抗生物質が不要になります。またニキビがなくなることにより精神的ストレスも緩和され精神安定剤も不要になってくるのです。最近女性のニキビが増えています。これはストレスにより男性ホルモンが増え、男性化したためと言われています。女性は本来20代の前半が皮脂分泌のピークで、その後はどんどん皮脂の分泌は低下します。しかしながら、忙しい現代生活ではストレスにより、女性の皮脂の分泌が増加します。その結果赤ら顔や毛穴の開き、そしてニキビで悩む大勢の女性が増えました。女性には男性にないハンディキャップがあります。それはお化粧をしなくてはならないということです。すなわち、お化粧をしている間は、スムーズな皮脂の排出が妨げられてしまいます。一方最近は重症なニキビの男性を見かけることは、少なくなりました。本当にそうなのでしょうか?バリバリ働いている男性も女性同様に、激しいストレスにさらされています。このような男性で、女性ホルモンが増加し、男性ホルモンが低下してきたのでしょうか?

私はそうは思いません。男性の肌が進化してきたのではと推測してきます。男性の肌が進化してきたのではと推測してきます。すなわち、男性は女性と異なり、20代以降も50代くらいまで皮脂の分泌は落ちません。これは男性ホルモンのせいです。男性と女性の肌質の最大の違いのひとつが、皮脂の分泌量です。男性は常に皮脂の分泌が盛んです。常に皮脂の分泌を促進するスイッチがオンになっているわけです。この事実は多少のストレスが加わっても、皮脂の分泌が急増するということに結びつかないのではないでしょうか。そして男性は女性と異なり、毛穴も太くしっかりとしています。このことは、男性は女性と異なり皮脂を皮膚の表面に輸送するパイプが太く、詰まりにくいということを意味しています。そして男性の肌は女性よりも厚みがあります。これは男性ホルモンが主として角層を厚くするためです。この作用が毛穴に働くと毛穴の出口が狭くなり、皮脂が詰まりやすく、赤ら顔、毛穴の開き、そしてニキビになるわけです。しかしながら男性が進化して、角層が毛穴の出口を塞がないようになったらニキビができにくくなると推定されます。

これはあくまでも私の私見です。ニキビの患者さんで多い職業の方は、不規則な勤務時間、営業や金融業などのストレスが多い仕事です。これらの仕事に従事している男性、ニキビのある方とない方の男性ホルモンのレベルを測定すれば、私の推測が正しいがどうか結論がでることでしょう。さて図1は皮脂の分泌が亢進していない方の肌をスキンスコープで観察したものです。非常に規則正しいキメがあります。図2に毛穴の開いた方の肌をおみせしますが、まだ10代で皮膚の代謝が盛んなはずですが、開いた毛穴がキメをぶち壊して、いわゆるキメの粗い肌になっています。そして肌は毛穴を中心にろうと状にへこんでいます。なぜ毛穴が開くと、キメが粗くなるのでしょうか?

キメとは皮野(皮丘とも言います)、皮溝よりなるユニットで、シワとは異なり、生まれたときから皮膚の表面に存在します。キメが細かい、すなわち皮膚溝が深いと言うことは、代謝の盛んな良い肌といえます。このような肌はさわっていても滑らかで、気持ちのいい肌です。しかしながら毛穴の開きや赤ら顔で悩んでいる方の場合、特に頬を触るとざらざらした感じがあります。

図3に正常な毛穴を示します。

この方の場合、キメも正常に保たれています。この時、毛穴に皮脂がつまり毛穴が膨らんでくるとどのような形態的変化が皮膚に生じるかを、考えてみましょう。毛穴が膨らむとその壁は横方向に拡大します。しかしながら拡大が顕著な場合には、毛穴はより膨らむために、皮膚の表面のキメの豊かな皮膚を毛穴の方向に引きずり込む必要があります。その結果さらに毛穴が膨らむことが、可能になりました。でもその結果皮膚の表面のキメは毛穴方向に強く引き込まれたため、皮膚の表面にあった皮野、皮溝よりなる微妙な紋様、すなわちキメは消失して、毛穴を中心にろうと状にへこんでしまうのです。このろうと状に大きくへこんだ皮膚は、まるで大根おろしのおろしがねのようです。触ったらざらざらするのも当然ですね(図4)自宅で簡単にできるニキビ用のスキンケアは、高濃度持続活性型ビタミンCのイオン導入です。乾電池を使用するおもちゃみたいな導入器もありますが、数万円以上のものであれば、まずまちがいありません。業者によっては専用のビタミンC液を使用しないとダメと言うそうです。

青山ヒフ科クリニックにも大勢の患者さんからの問い合わせがあります。クリニックのビタミンCはマイナスに荷電しています。VCローションを塗った後に、皮膚に陰極を、手に陽極をセットしてください。陰極と陽極が交代するパルスタイプであれば、ビタミンCだけでなくマグネシウムも皮膚にドンドン入っていくのでさらに効果的です。青山ヒフ科クリニックのVCローションはイオン導入の妨げや刺激のもとになる防腐剤は一切使用していません。自宅で行うイオン導入には最適です。ただしその後の保湿もしっかりしてくださいね。ニキビの治療に一番大切なことは、ニキビがなぜできるかを理解しているドクターのもとで、治療を行うことです。