Dr.亀山のトータルビューティー・コラム Column

徹底解説ニキビ4:始まりから終わりまでの臨床症状と組織反応

皮脂の分泌が盛んな思春期以降の顔のほとんどの皮脂腺に、アクネ菌は存在しています。皮脂は皮脂腺で作られ毛穴を通じて皮膚の表面に分泌されます。アクネ菌は皮脂を餌として、毛穴に生息しています。アクネ菌は皮膚を弱酸性に保ち、潤いを与えます。平常状態では人はアクネ菌に免疫反応、すなわち炎症反応を起こすことはありません。

高脂質食、高糖質スストレス、体内のホルモンバランスの乱れは、皮脂の分泌を盛んにするだけでなく、表皮細胞の増殖を盛んにして、多くの角質細胞を生じ、毛穴を詰まりやすくします。毛穴は表皮を貫通する部分が非常に狭くなっています。毛穴の出口にあたる部分が広いと、黄色ブドウ球菌などの病原菌の侵入を容易にしてしまいます。また、微妙な皮脂の分泌を調整するには、出口が歯磨きのチューブのように狭いほうがいいのでしょう(上の図を参照してください)。毛穴が詰まり、酸素に乏しい嫌気性の環境になると、アクネ菌はキャンプファクターという毒素を産生するようになります。アクネ菌は嫌気性細菌で、酸素がない状態が一番のびのびと増殖できる環境です。繁殖領域を拡大しようとして、表皮細胞や免疫細胞などアクネ菌に接する細胞の細胞膜に穴をあけて死滅させてしまうキャンプファクターを産生します。ヒトはそれに対して免疫反応を起こし、アクネ菌を排除しようとします。毛穴が詰まり、炎症を起こし始めた状態の毛穴を、皮膚科学的にはコメドといいます。普通の毛穴よりわずかに隆起して、常色、ないしはやや赤みを帯びた状態です。一般的には毛穴の出口に皮脂が詰まり酸化したものをコメドということがありますので注意が必要です。

青い矢印の先、白くやや盛り上がっている部分がコメドです。その上にもたくさんあります。

アクネ菌を排除しようとする炎症は、インターロイキン1β(IL1β)やインスリン様成長因子1 (IGF-1)というサイトカインを増加させて、表皮細胞の増殖を促進します。炎症は表皮細胞のカリクレインという蛋白分解酵素の産生を増加させます。カリクレインは表皮細胞から角質細胞を剥離させる作用があります。その結果、毛穴の出口はますます狭くなり、詰まりやすくなります。IL1βやIGF-1は皮脂の分泌を促進する作用も持っています。その結果皮脂の分泌は促進、アクネ菌は増加、毛穴はより詰まりやすくなるというニキビ悪化の条件がそろい、ニキビは進行します。IL1βやIGF-1は高糖質食でも増加します。IL1βやIGF1などは、炎症のごく初期に毛穴に入り込んだ免疫担当細胞が、産生し、その後毛穴の出口の細胞、表皮細胞、皮脂腺細胞、真皮に浸潤した炎症性細胞も産生するようになります。毛穴に一致した隆起や赤みが明らかになります。時に毛穴の出口の皮脂と角質細胞がミックスされて黒い角栓を作ることもあります。

毛穴に一致した赤い丘疹が増加します。一部では中央に白黄色の膿を持っています。中央上部では詰まった皮脂が酸化して黒くなっています、角栓が形成されています。

炎症は皮脂の分泌を促進します。餌となる皮脂の分泌が促進して、増加したアクネ菌はキャンプファクターや蛋白分解酵素の産生を増加させます。ヒトの細胞は蛋白分解酵素や活性酸素を分泌させて、アクネ菌を除去しようとします。その結果アクネ菌の周囲の組織が破壊されます。アクネ菌は破壊された毛穴から真皮に広がります。その結果炎症も激しくなります。大きな丘疹や結節が皮膚に生じます。アクネ菌を取り込んで死んでしまった好中球はマクロファージに取り込まれて膿となります。膿はニキビの中央の毛穴から排出されます。

上の額のニキビの方の組織です。毛穴は拡大し、下方が破れ、周囲の真皮には大量の炎症性細胞が存在します。

 

上の図に示すように、血管から皮膚に飛び出してアクネ菌を取り込んだ好中球はマクロファージに食べられて炎症は収束します。一部のアクネ菌はキャンプファクターを放出して細胞外に脱出して炎症が長期化する原因となります。炎症による真皮の損傷が修復されないとクレーターになります。炎症が激しいと炎症後の色素沈着も生じます。このようにして、ひとつ、ひとつのニキビの反応は起こり、やがておさまります。一般的にはストレスや食生活の乱れは長く継続します。その結果、ひとつの部位のニキビが収まっても、今度は別の部位でニキビが生じることになります。ですからニキビのケアに際しては毛穴の炎症に対応した治療と、新しいニキビの発生を抑えるような、角質ケアやストレス対策、食生活の改善が必要となるのです。