13/01/24

完全解説:毛穴<毛穴レスライフを楽しもう>


毛穴はどうして開くのか、どうしたら治るのかを、いままでの治療経験を踏まえて、総論的に書きました。
皮脂の排出が過剰になり、皮膚に炎症を起こすとニキビになります。
毛穴治療は、ニキビ治療と並んで僕の原点です。これを読んでいただき、毛穴治療の一助になれば幸いです。

【1】なぜ毛穴は開くのでしょう
青山ヒフ科クリニックを来院される患者様で、主訴として一番多いのが、ニキビ、および毛穴の開きです。
年例層は10代~50代と、幅広い患者様がいらっしゃいます。
中でも一番多いのが、20代~40代の方々です。
皮脂は皮脂線で産生され、毛穴を通って皮膚の表面に分泌されて皮脂膜を形成し、皮膚のバリア機能をアップします。
皮脂線と毛穴の関係は、皮脂線を水道の蛇口、毛穴を柔らかいホース、と例えることができます。
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蛇口にホースをつないで、ほんの少し蛇口をひねって水を出すと、ホースは膨らみません。
しかし、蛇口を全開にして沢山の水を出すと、ホースは内圧に負けて、容易に開いてしまいます(図2)
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これが、“毛穴が開いた状態”と形容することができます。しかし、ホースにコラーゲンやエラスチンというテープを巻いて、ホースを補強すれば、多少内圧が上がっても、毛穴は開きにくくなります。
残念ながら、ストレス、加齢などにより、顔のコラーゲンやエラスチンの量は低下してきます。すなわち、年齢を重ねるとコラーゲン、エラスチンという補強テープは弱くなってしまい毛穴は開きやすくなるのです。
ですから、30代以降では、皮脂の分泌がそれほど増加していないのに、毛穴が開きやすくなります。
いわゆる加齢毛穴です。皮脂の分泌を増やす男性ホルモン。
男性では声変わりする頃、女性では月経が始まる頃に劇的に増加します。
それまで、低い濃度にさらされていた皮脂線は急激に増加する男性ホルモンに過剰に反応してしまい、毛穴の開きやニキビを引き起こします。
これが、10代に起こる毛穴の開きの主な原因です。
声変わりや月経が始まる前、小学校低学年で毛穴の開きがないのはそのためです。
皮脂線の過剰反応も10代の後半には解消されますが、高校を卒業して就職をしたり、大学での勉強・アルバイトが忙しくなると、ストレスにより皮脂の分泌は再び増加してきます。
学生時代、ほとんど毛穴の開きやニキビがなくても、就職して社会人になったら毛穴の開きやニキビがひどくなったという患者様が非常に多いのが特徴です。
やがて仕事に慣れれば、この状態は数カ月から数年で解消します。
女性の場合、30歳を過ぎるころになると、卵巣からのエストロゲンの分泌の低下を引き金として、体内のホルモンバランスの変化が起こります。
その結果皮脂の分泌を促進する副腎皮質由来の男性ホルモンdehydroepiandrosterone(DHEA)の分泌が促進されてしまうのです。
DHEAはゆっくりゆったりとしたリラックスできる時間があると女性ホルモンに変換しますが、毎日イライラと過ごしていると、男性ホルモンのままなのです。30代後半から40代にかけて、女性では20歳の頃と同じくらい大量のDHEAを持つようになるのです(図3)
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そのため、女性では30歳を過ぎるころになるとDHEAの増加と、コラーゲンやエラスチンの量の低下という2つの要因により、男性に比べて毛穴は開きやすくなるのです。
この現象は、休息をとる暇もなく、忙しい毎日を送っていると、20代後半で起こってしまいます。
男性の場合、睾丸から男性ホルモンが分泌されるので、DHEAは20歳がピークでその後年齢とともに低下します(図4)
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女性の場合、月経前に増加する黄体ホルモン(プロゲステロン)も男性ホルモン様作用を持っています。ですから月経前に毛穴が開き、ニキビができやすくなるのは、女性の宿命なのです。

また、老化現象やストレスにより、女性でも男性でも、皮脂線周囲のコラーゲンやエラスチンの量は低下していきます。
その結果、高齢になると、再び毛穴の開きが目立ってくるようになります。私は、10代、20代、30代以降の毛穴の開きを、その原因により、全開毛穴、ストレス毛穴、加齢毛穴と名前をつけています(図5)。
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毛穴の開きには、ストレス、加齢、ホルモンバランスの変化など様々な要因が絡み合っています。
特に30代以降の毛穴の開きでは、皮脂の分泌を抑えることも大切ですが、毛穴のまわりの組織を強化することが大切です。
毛穴が開くことにより、毛穴周囲の皮膚は毛穴に向けて引っ張られ、毛穴の出口が漏斗状に陥没します。
皮膚がけん引されることにより、皮膚の若さを示すキメも低下してしまい、触るとザラザラします(図6)。
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【2】毛穴ケア:毛穴を縮小させましょう

大切なことは、毛穴本来の役割を考えることです。
毛穴には毛があります。
レーザー脱毛をして顔のヒゲやうぶ毛を処理してなくすことにより、毛穴は縮小します(図7、8)。
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この写真は私のものですが、青山ヒフ科クリニックで顔の脱毛処理をした男性だけでなく、女性の方も、ほとんどの方に、「毛穴が小さくなった」とおっしゃっていただいています。

毛穴を縮小するには、レーザー脱毛を行い、毛穴の中身を消してしまうこと以外に、
1.皮脂の分泌を抑制する
2.皮脂の排出をスムーズにする
3.毛穴の周囲の組織を強固にする

この3点が大切なポイントです。これらを同時に行うことで毛穴ケアの効果は増大します。
それでは、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか?

<毛穴の治療法>
a.丁寧なカウンセリング
青山ヒフ科クリニックには全国から大勢の“毛穴に開きが気になる”という患者様が来院されます。
毛穴の治療で一番大切なことは、患者様の“毛穴を閉じる”という気持ちを高め、維持することです。
そのために必要なことは、なぜ毛穴開くのか、患者様の場合、どうしてなかなか治らないのかを、懇切、丁寧に説明することです。

例えば、高濃度ビタミンC誘導体がなぜ毛穴に有効なのか、なぜビタミンCやビタミンB群の内服が大切なのかを説明します。
毛穴の場合、心理的ストレス、ホルモンバランスや加齢など、様々な理由で悪化します。
患者様の年齢や生活環境などを考慮し、患者様の立場に立って、それを克服していくにはどうしたらいいかを一緒に話し合いながら、最適な治療法を提案させていただきます。
青山ヒフ科クリニックでは、丁寧なカウンセリングをまず行い、なぜ毛穴が開くのか、どうしたら治すことができるか、を患者様にご理解いただくこと、それが毛穴治療に、一番大切で、重要なことだと考えております。

クリニックでは多彩な外用剤や治療法、トリートメントでは多彩なメニューを用意しています。
毛穴でお悩みの方の肌を、一刻も早く治したい、患者様のお役に立ちたい、それが青山ヒフ科クリニックの心からの願いです。

b.的確な診断
まず、開いた毛穴の分布を診ます。
さらに毛穴の開きの状態、円形か楕円形か、帯状になっているか、皮脂が詰まっているか、ニキビが合併しているかどうかを診ます。
また、毛穴以外の肌の状態、潤いがあるか、乾燥しているか、赤みがあるか、顔全体のタルミがあるかどうかも診ます。
いつから毛穴が開いたか、毛穴と肌全体の状態、現在までの治療法もお聞きします。
現在の精神状態や環境状況、ストレスの有無もお聞きします。全開毛穴、ストレス毛穴、加齢毛穴のどれにあたるか、あるいは皮脂の分泌、ストレス、加齢がどのくらいの割合で関与しているかを診断します。
そして患者様のお好みの治療法も加味して、治療法を決定します。

c.ストレスを減らそう
具体的に、【2】で述べた(1)~(3)を3点を改善する一番有効な手段は「ストレスを減らすこと」です。
ストレスは男性ホルモンを増加させます。
毛穴の開きの治療を開始する際に、私は必ず、自分でストレスを日々感じているかを聞くことにしています。
大部分の患者様は、ストレスを感じているとおっしゃいます。
しかし、ストレスを全く感じないという患者も少数存在します。
興味深いことには、ストレスを全く感じないという患者様でも、毛穴が開き、フェイスラインや口周囲にニキビを生じている場合が高い割合で見られることです。
フェイスラインや口周囲は、ストレスで増加する男性ホルモンに、感受性の高い皮脂腺が存在するとされています。
この部位にニキビが生じ、毛穴が開いているということは、本人はストレスを感じていなくても、肌が心の奥底にあるストレスを表現していると考えられます。
すなわち、“肌は心の鏡”なのです。
ストレスには、精神的ストレスと肉体的ストレスがありますが、我々にとって一番のストレスは何でしょうか?

それは“死”です。
死を細胞レベルで考えると、細胞への栄養物の搬入が停止、老廃物の排出が停止、そして細胞の代謝が停止することです。
死まで至らなくても、代謝が下がることにより、疲労が蓄積します。
代謝の中心となるのは、エネルギー産生系です。
我々はミトコンドリアで大量のアデノシン3リン酸(ATP)を産生して、エネルギーを得ています。

ATPの主な役割は、
1.細胞におけるコラーゲンなどの化合物の合成
2.神経伝達物質(ホルモン)の合成と放出
3.筋肉運動
4.各種イオンや有機物の膜輸送と老廃物の排出

です。
我々は仕事をしている時、一生懸命考え、会話をし、筋肉を動かして接客やパソコンを操作しています。
考えるには、神経伝達物質が必要です。そうです、仕事の時こそ、ATPの役割が増大するのです。
ストレスを減らすには、どうしたらいのでしょうか?
心と体を元気にすれば良いのです。具体的には、神経細胞と体細胞をエネルギーで満ち溢れるようにして、疲れを全く感じないようにすれば良いのです。
ATPの4つの作用が増大すれば、細胞は栄養で満ち溢れ、仕事でのストレスは大いに低下し、バリバリ仕事ができるようになるのです。

d.サプリメント、静脈注射ATPの合成を促進するのが、ビタミンCやビタミンB群等なのです。
私はこれらのビタミン類をサプリメントとして毎日摂取しています。
しかしながら、そんな私でも深夜まで論文を書いていると頭がボーとしてきます。仕事で頭がボーっとしてくるようなことは皆さんも経験されていることでしょう。
私は疲れがたまると顔が痒くなることがよくあるので、ビタミンC、ビタミンB群、グルタチオン等の静脈注射をよく行います。
注射後ただちに、ボーとした感じがなくなり、肌の痒みがなくなり、顔が引き締まっていく感じがわかります。
注射30分後には、注射前に赤かった部分も消失し、拡大写真を見ると、法令線も浅くなり、毛穴も縮小しています(図9、10)。

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注射の場合、内服とは桁違いの濃度の有効成分が皮膚に到達するのです。体中の細胞がエネルギーで満ち溢れると毛穴は閉じるのです。

e.光線療法また、毛穴を縮小する際に、ジェネシスなどのレーザーやタイタンなど近赤外線の照射を行い、筋肉の収縮やコラーゲン、エラスチンの増加を利用して、顔全体をリフトアップして毛穴を収縮することも、毛穴ケア、特に加齢毛穴には重要です。毛穴、ニキビ、クレーターなどが気になる方には、そのすべてに効果がある“ピクセル”というレーザーが有効です。
ピクセルについて詳しい事は第43回のコラム“クレーターよさらば”を参考になさってください。

f.ボツリヌス毒素製剤ボツリヌス毒素製剤である、Dysportは、Botoxと同じ成分を持ち、もともと筋肉の動きをブロックして表情ジワを治す目的で開発され、眉間のシワなどに使用されています。
私は筋肉ではなく表皮直下に注射することで、表皮細胞の増殖、真皮のコラーゲンやエラスチンが増加することを確認しました。興味深いことに、これらの薬剤は皮脂の分泌を強力に抑制する作用を持つのです。
したがって、毛穴が縮小するだけでなく、リフトアップするので、あらゆるタイプの毛穴の開きに効果的です。
鼻の毛穴はスキンケアではなかなか縮小しませんが、Dysport注射後は毛穴はほぼ消失しています(図11、12)。
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また、キメは加齢とともになくなっていきますが、Dysport注射後に私の皮膚が30歳位若返り、20代のキメになりました(図13)。
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g.ビタミンC、サロントリートメントビタミンCは、皮膚に対して、シミ・クスミ、シワ・タルミ、ニキビ、毛穴の開き、敏感肌、乾燥肌など、すべての肌トラブルを改善することが知られています。
6%の水溶性ビタミンCのイオン導入を本人の左半分のみ30分間、1回行いました。導入部分だけ色調が明るく(図14)、拡大してみると毛穴が閉じています(図15)。
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これらのことより、毛穴は堅いトンネルではなく、瞬時に反応する柔らかいホースであるということが改めて確認できます。
そうです、毛穴は生きているのです。
ビタミンCのイオン導入、ケミカルピーリング、そして日々のお手入れをすることで、前述した、毛穴を閉じるための大切な3つのポイントを行うことができます。
それでも効果がなければ、毛穴を徹底的にお掃除するディープクレンジングを行う毛穴レスアンチアクネコースやメンズレスキューコースがお勧めです。
加齢毛穴には、VC導入とジェネシスがセットになった毛穴レスキュージェネシスVCコース、毛穴が開いているけれども皮膚に潤いがない方にはオリゴノールVCコースがお勧めです。
h.スキンケアスキンケアは毛穴ケアの基本中の基本です。ビタミンC誘導体のローションやクリームが一番基礎となる成分です。
ビタミンC誘導体と男性ホルモンを抑制する甘草エキス(リコカルコンA)を配合した化粧品“ケイプレミアムクリーム”やオリジナル外用剤“アンチアクネローション”を2週間使用すると、毛穴は閉じ、ニキビは消失します(図16)
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1か月使用すると、頬の赤みは消失、流れた毛穴も収縮し、キメも改善します(図17)
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皮膚は、いつも外用を継続していると、肌にとっていい成分を効率良く、そして素早く吸収する特性を持つようになります。
私の場合、朝洗顔後にこの化粧品だけでなく、ビタミンA,C,E,H,B群などを配合した美容液やリン脂質、セラミドなどを配合したクリームも一緒に外用すると、瞬時に顔がリフトアップするのがわかります。

患者様の親指の付け根に、ケイプレミアムクリームを塗ると、30分後には塗布した右側だけ毛穴が閉じ、シワが低下したことがわかります(図18)。
※ケイプレミアムクリームは2016年6月時点で終売しております。
後継品:ケイカクテルVプレミアムクリーム
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スキンケアで毛穴を閉じさせるには、皮脂の分泌を強力に抑制するだけでなく、コラーゲンやエラスチンの量を増加し、排出をスムーズにする3つの作用を発揮させるこだと、私は確信しています。
しかし、誤った方法では、皮脂の分泌を抑えすぎてしまい、肌が乾燥してしまう可能性もあります。
毛穴だけでなく、肌全体の状態を観察して、肌質に最適の保湿外用剤や化粧品も処方しております。

青山ヒフ科クリニックの外用剤や、ドクターケイの化粧品には、毛穴縮小成分が配合されています。
スキンケアだけで効果が得られない場合には、ビタミンCのイオン導入、Dysport注射、各種ビタミン・アミノ酸の静脈注射など、多様な治療法を併用し、毛穴を縮小させるのが「青山ヒフ科クリニック流、毛穴収縮法」です。
毛穴は精神的、肉体的なストレスや、加齢以外に、交感神経の緊張、細胞の飢餓状態などで、細胞のエネルギーが足りなくなると、開く傾向があります。
私が思う「一番大切なこと」それは、今まで述べてきた毛穴ケアをするだけでなく“自分だけのリラックスした時間を持つこと”だと考えています。
リラックスすることにより、全身の細胞に向かう血管が開き、エネルギーが全身に効率よく分配されるのです。