第9回

乾燥肌のメカニズムとマグネシウムの効果



寒さが強くなる今日この頃です。
夏の間はスベスベの肌もこの季節になると、かさかさした潤いのない肌になってしまう方は以外と多いのではないのでしょうか?

冬になると何故肌は乾燥するのか、それにはいろいろ理由があります。
皮膚はすりむいても血が出ない表皮と、より深いところにある真皮に大別されます。
真皮にたくさんある繊維はコラーゲン(膠原繊維)です。
コラーゲンは水分の保持や皮膚のしなやかさの維持に大事な役割をします。コラーゲンが衰えるとシワやタルミの原因になります。
このコラーゲンとコラーゲンの間にはヒアルロン酸など基質と呼ばれる物質が充満しているのです。
ヒアルロン酸も非常に高い保水機能を持っています。真皮にわずかに散在する細胞は繊維芽細胞といいます。
この繊維芽細胞がコラーゲンやヒアルロン酸を産生する非常に大切な役割を果たしています。
真皮と表皮の境界には基底膜という膜があります。そして表皮にはケラチノサイト(表皮角化細胞)と呼ばれる細胞が石垣のように並んでいます。
そして表皮の一番上には角層があります。
角層にはセラミドなどの脂質、尿素やアミノ酸などが存在しています。
これらの物質も水分を保持する機能を持っているので、天然保湿因子(NaturalMoisturizingFactor,NMF)と呼ばれています。
尿素は最初、尿から発見されたので一見ぎょっとする名前がついていますが、実は皮膚にあまねく存在する、大切な天然保湿因子のひとつであることが後に判明しました。
そして角層の上には皮脂膜が存在します。
我々の肌の表面からは常に一定量の水分が空気中に蒸発しています。
これをコントロールする機能は次の様になります。
真皮にはコラーゲンやヒアルロン酸が存在し、水分を保持しています。
しかし表皮にたくさん存在するケラチノサイトに栄養と水分を補給するために、ある程度の体液は基底膜を通過して表皮に浸み出して行きます。
これらの体液がケラチノサイトに栄養を補給した後に、角層に達します。
ここで天然保湿因子がうまく水分をキャッチすればいいのですが、角層での天然保湿因子の量の不足や、バランスの乱れがあると水分は速やかに角層を通過してしまいます。
それでも角層の上にある皮脂膜がしっかりしていれば、水分はなかなか皮脂膜を通過出来ません。
ところが冬になると体温の低下を防ぐために、皮膚に到達する血液の量は少なくなります。
その結果皮膚の代謝は低下してきます。当然、角層の産生、皮脂の分泌も低下してきます。
また気温が低下したために汗として皮膚の表面に供給される水分も少なくなって、どんどん皮膚は乾燥してきます。
また冬は夏に比べて湿度も低下しています。これではどんどん皮膚から大気中に水分が蒸発してしまうわけです。
このような傾向は角層が薄く、皮脂線の分泌が少ない眼の周りや手足で、顕著に認められます。
顔は比較的しっとりしているのに、腰や足がかさかさするというのはこのような原因があるわけですね。
ではどのようにしたらこのような状態は改善されるのでしょうか?まず水分の保持に大切な働きをする角層や皮脂膜を傷つけたり、落としすぎないようにすることです。
すなわち入浴の際にはタオルでゴシゴシこすったりせずに、ソープを泡立て、やさしく手で洗うようにしましょう。
できれば保湿剤を配合したソープにしましょう。
一番簡単なのは、皮脂膜を補給することです。
これには割と軽めの乳液から、強力な皮脂膜を形成するワセリンまで様々な製品があります。
実は私は子供のころから20歳ころまでアトピー性皮膚炎でした。
現在はアトピー性皮膚炎はありませんが、極度の乾燥肌です。
私は夏でも入浴後は全身にワセリンを薄く外用しています。
今でも入浴時にタオルは決して使用しません。
ワセリンはテカテカする、塗り味が重いという欠点がありました。
しかしながら現在はこれらの欠点を改善した、眼科用のワセリンというスグレモノが登場しました。
薬局では手に入らないと思いますが、皮膚科を受診すれば保険適応でまず手にはいるはずです。
これらの製品だけで、カサカサが改善しないようであれば、まず天然保湿因子を肌に塗った上にワセリンをぬるのです。
尿素クリームなら薬局でも皮膚科でも入手可能です。
それでも改善しないようであればまず真皮に存在するコラーゲンやヒアルロン酸を配合したクリームや乳液を最初に塗り、次に尿素などの各種の天然保湿因子、
そしてワセリンを外用するようにしましょう。

それでも治らない乾燥肌はどうしたらいいのでしょう?
私の患者さんにはアトピー性皮膚炎の方もいます。
この病気はかゆみと極度の乾燥肌を特徴としています。
皮膚の表面からどんどん水分が蒸発してカサカサになるのももっともです。
またこの病気では水分の保持に大事な役割を果たす、セラミドという脂質の合成が低下しているという報告もあります。
さて私のアトピーの患者さんで温泉、あるいは海水浴に行ったら全く治ってしまった。
あるいは温泉に入っている間は調子がよかったという方が一部にいました。
また昔からいい温泉は皮膚病を治し、肌をスベスベにするといわれてきました。
私は温泉、あるいは海水に含まれる何らかのミネラルが乾燥肌を改善するのでは考え、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなど各種の入浴剤を作って患者さんに使用してもらいました。
その結果マグネシウムが強力な保湿作用を持っている事がわかりました。
角層が剥げかかっています。
この方に塩化マグネシウムを1%含む溶液を1日2回から3回塗ってもらいました。
もちろんそれ以1日2回から3回塗ってもらいました。
もちろんそれ以外の保湿剤は一切使用していません。
2週間後にはキメも細かく、肌はしっとりとし、剥がれかかった角層もほぼなくなってしまいました。
青山ヒフ科クリニックで使用しているビタミンCは、実はマグネシウムを含んでいる持続活性型のビタミンCです。
この方に塩化マグネシウム溶液だけでなく、ビタミンCクリームをさらに1週間ぬりました。
キメはさらに細かくなり、つやのあるみずみずしい肌になりました。
マグネシウムがどうして乾燥肌の改善に効果があるのでしょうか?
乾燥肌のヒトの下肢実はマグネシウムはエネルギーの代謝に重要な役割を果たします。
剥がれかかった角層も消失している。カラダの中ではアデノシン3リン酸(ATP)という物質が分解されることにより、エネルギーが供給されています。
このATPという物質を分解するATPaseという酵素が働くためにはマグネシウムが必要なのです。
ですから皮膚の細胞の中のマグネシウムが低下すれば、皮膚の細胞の代謝が低下し、その結果角層も薄くなり、ますます皮膚のバリア機能が低下するわけです。