第30回

ビタミンC注射はすごい、深いホクロもクレーターも大丈夫、シミ、シワ、ニキビも抹殺します!(1/9)



最近ビタミンC(VC)のホルモンレベルでの話など難しいトピックが連続したので、今回はVC注射の素晴らしい臨床効果についてお話しましょう。

ビタミンCはシミ、クスミ、シワ、タルミ、ニキビ、赤ら顔に効果があることはすでにご存知ですね。
そしてその効果は単なる天然型のビタミンCであるL-アスコルビン酸ではなく、マグネシウム結合型の誘導体(VC-PMG)の方が優れているのです。
天然型のアスコルビン酸は内服するにはいいのですが、水に溶かしたりするとすぐに酸化してしまうという致命的な欠点があります。
また培養細胞レベルでも細胞への吸収性はVC-PMGのほうが約4倍から8倍いいというデータがあるのです。
細胞膜は脂質を含んでいるために油に対する親和性がVC-PMGのほうがアスコルビン酸よりいいために起こる現象です。
以前dysportが筋肉を麻痺させて表情シワを無くすだけでなく、皮膚に浅く注射することで強力な皮膚の若返り作用、すなわち、コラーゲン、エラスチンや表皮角化細胞を大幅に増加させることを報告しました。
私はdysportがこれだけ効果を発揮するのは注射という手段で直接皮膚のなかに大量に投与可能だからではと考えました。

VC-PMGも単に塗るよりもイオン導入したほうが何十倍も皮膚に浸透することは報告されています。
では直接注射したら、シミもニキビももっと治るのではと考えました。
注射する場合の候補としてアスコルビン酸はやはり使えないのです。
なぜならアスコルビン酸を水や生理食塩水に溶解するとpHは非常に低く3から4となってしまい、生体の細胞にダメージを与えてしまいます。
VC-PMGの場合は溶解すると弱アルカリ性になります。
我々の体の中は弱アルカリ性です。
以前培養細胞にVC-PMGと加えた場合と、ナトリウム結合型のVC誘導体(VC-PNA)を加えてどちらのメラニン産生を抑える作用が強いかを比較したことがありました。
VC-PMGの場合は1%まで濃度を上げて培養しても細胞は生きているのですが、ナトリウム結合型では1%という濃度にすると細胞は死んでしまいました。
これは浸透圧が高すぎて、細胞の中の水がナトリウムによって外に引き出されてしまったためなのです。
大量の塩分を含む梅干が細菌感染を起こさないのも、高い浸透圧によるものです。
マグネシウムの場合は濃度を上げても浸透圧があまりあがらないので細胞は生きることができたのです。
ちなみに0.1%という低濃度ではマグネシウム結合型もナトリウム結合型も同じ程度の美白作用を示しました。
実際に使用する際にはVC-PMGを生理食塩水に溶解し、ろ過滅菌します。
ニキビの患者さんにはそれぞれのニキビに0.10.2ml皮内に注射します。
するとニキビは数日でほぼ消失します。
この治療法の利点はニキビを治るすだけでなく、その後の色素沈着も防止すると言う点です。
残念ながらストレスが継続するとまた再発してしまいますが、即効でとにかくニキビを減らしたいと言う方にはお勧めです。
図1,2、は注射前と1週間後のものです。

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またある患者さんの場合、大学生時代は低出力レーザーと外用でニキビ、クレーターはほとんど消失したのですが(図3,4)、社会人になってストレスが増加し、たくさんのニキビが生じました。
毎週、数十箇所にビタミンCを注射した3ヵ月後の写真です。

ニキビは少し残っていますが、顔が引き締まり、眼の下のタルミも全く消失しています。
これはビタミンCの強力なコラーゲン合成促進作用によるものです(図5)

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クレーターはケミカルピーリングやアレキサンドライトレーザーやヤグレーザーによる低出力の照射とビタミンCの外用で治りますが、2年以上前のクレーターの場合は、それだけではなかなか治りません。
なぜなら皮膚の表面が以前はフラットだったというメモリーがなくなっているからです。
このような場合、まず炭酸ガスレーザーで皮膚の表面を軽く削り、表皮角化細胞の増殖を促進したのちに、ビタミンCを注射し、さらにヤグレーザーあるいはアレキサンドライトレーザーを低出力で照射し細胞の発電機であるミトコンドリアを活性化します。
その後は毎日ビタミンC、Aを外用するのです。
炭酸ガスレーザーで削ることにより少し赤くなりますが、これを繰り返すことで少しずつ皮膚は盛り上ってきます。
皮膚が赤いうちは炭酸ガスレーザーで削る必要はありません。
低出力レーザーの照射とビタミンCの注射で十分です。皮膚の赤みがなくなり、盛り上がりが停止するようでしたら再び炭酸ガスレーザーで皮膚の表面を軽く削ります。
炭酸ガスレーザーで削る間隔は1~2ヶ月に1回程度です。
ビタミンCの注射で十分な効果が得られない場合にはdysportの注射も併用します。

18年前の水疱瘡のクレーターに炭酸ガスレーザー使用しビタミンCを注射した患者さんの6ヵ月後です。
炭酸ガスレーザーで3回削りました。
低出力レーザーとVC注射は毎月行いました。
かなりクレーターの深さと大きさが減少しています。(図6,7)
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また半年前のヘルペスによるクレーターに同様の処理を3回した半年後ではクレーターはほとんど消失しています(図8,9)
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一方、15年前のニキビのクレーターに炭酸ガスレーザーで1回削りdysportを注射した2週間後では、大きなクレーターは少し小さくなり、一部のクレーターはほとんど消失しています(図10,11)
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花粉症で腰にステロイドを筋肉ではなく誤って皮内に注射されて大きくへこんでしまった患者さんでは、へこんだのが1年前ということもあって、低出力レーザーを1ヶ月に1回、6回ほど照射してビタミンC、Aを塗るだけでたいらになりました。
この方の場合アレキサンドライトレーザーを少し強めに使用しました。
ビタミンCやdysportの注射や炭酸ガスレーザーの照射はしていません。
治療前のやや白く見えるところがへこんでいるところです。
一時的に色素沈着を生じていますが、色素沈着は数ヵ月後には消失しました(図12,13)
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ビタミンCの注射が一番効力を発揮するのがホクロをレーザーで切除する際です。
深いホクロの場合何ミリも削りこむ必要があります。
この後なにもしないとクレーターを形成します。
しかしながら削った直後に、へこんだ部位とその周囲にビタミンCを注射し、さらに低出力レーザーを照射し、ビタミンC、Aを外用します。
この場合驚くべき速度で皮膚が盛り上がってきます。
表皮がないために、低出力レーザーは繊維芽細胞のミトコンドリアを直接刺激して高エネルギー物質であるアデノシン3リン酸を大量に作らせます。

繊維芽細胞のミトコンドリアを直接刺激して高エネルギー物質であるアデノシン3リン酸を大量に作らせます。
そしてビタミンCがコラーゲンを作る繊維芽細胞内に栄養を補給しつつ、プロコラーゲンからコラーゲンの合成を一気に促進します。
すなわち、レーザーで代謝を上げて、ビタミンCでさらに代謝を上げつつ栄養を補給するのです。プロコラーゲンからコラーゲンの合成にビタミンCが必要なことはすでに有名な事実です。

そして一番大切なビタミンCの役割は細胞内に栄養を送り込むと言うことなのです。
ホクロの場合、削った直後なのでそこの部分は本来フラットだったというメモリーがしっかりあるために創傷の治癒が急激に増加するのではと考えています。

このホクロは深いホクロだからといわれて、カンナで削るように、炭酸ガスレーザーで少しずつ削ったけれども8回再発したと言う方が来院されました。
私はホクロがなくなるまで78ミリの深さまで削りこみました。
その直後と毎週ビタミンCの注射と低出力レーザーの照射を行いました。
1ヵ月後には深さ数ミリまで戻り、2ヵ月後には少しあかみが残っていますが、完全にフラットになりました。
もちろん外用も1日2回しっかり行ってもらいました。
この赤みはあと数ヶ月もすれば消えるはずです(図14-15、16-17)
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この治療法に極めてよく反応する人もいます。
鼻の横のホクロを約5ミリ削って、ビタミンCの注射と低出力レーザーを照射し、2週間後に来院してもらったところほとんど平らになっている方もいました(図18、19、20)
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盛り上がりすぎた場合にはヒルドイドソフトという外用剤を塗ることで盛り上がりは是正できます。
頑固な盛り上がりにはケロイドの薬であるリザベンという薬の内服もします。
これらの方法を駆使することによりホクロのあとにへこむ患者さんはいなくなりました。
よその施設でホクロを削って再発した人でも1年以内であればほとんどの方で、もう一回削り、ビタミンC注射と低出力レーザーそして、日々の外用でフラットにできます。
この治療法は傷口を縫合手術した場合にも応用できます。
縫合後に傷にそって両側にビタミンCを平行に入れるとコラーゲンの合成が盛んになるために傷のあがりが非常に良くなります。
青山ヒフ科クリニックではめったに縫合手術は行わないのですが、時々怪我をしたヒトが来院します。
その際には非常に役立ちます。

ビタミンCの注射はシミのレーザー治療の成績もアップします。
単にレーザーを照射しただけではなかなか色が抜けない老人性色素斑の方に、レーザー照射と同時にビタミンCを注射し、さらにその後も定期的にビタミンCを注射することで頑固なシミも消失します(図21、22)
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赤い血管が消失しているのはヤグレーザーを照射したためです。
ヤグレーザーはヘム色素を持つ赤茶色のミトコンドリアだけでなく、同じ色素を持つ赤血球にも吸収されるので血管を破壊する作用もあるのです。
ただし血管を消失させるためには、やけどしないように少しずつ出力を上げて5から6回は照射する必要があります。
酒さ(しゅさ)という顔の血管の循環障害を背景にした血管拡張の方にヤグレーザーを5回照射したところ開いた血管は完全に消失しています(図23、24)
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このようにビタミンCは外用、イオン導入だけでなく、注射で大量に皮内に投与することにより、きわめて優れた効果を発揮します。
しかしながら欠点もあります。
それは痛いことです。
15%濃度の麻酔薬をたっぷり外用して約15分後に注射しますが、その後数十分じわじわした痛みが継続します。
また眼の下のタルミや色素沈着や静脈が透けて見えるクマにも有効ですが、眼の下の皮膚や血管は極めてもろいので、注射部が皮内出血することがあります。
もちろん数日から約週間で消失します。
ほかの部位では出血することはまずありません。
Dysportとの併用で効果は倍増します。
注射のコツは眼の下では、針先の先端のみを皮膚に入れ、注射後数分間圧迫することです。
私にとって最大の先生は患者さんです。
ニキビ、シワ、クレーター、ホクロ切除にビタミンCが有効であると教えてくれた大勢の患者さんに心からから感謝します。