第12回

シミはどのように治療することが可能でしょうか?



シミの原因になるメラニンはサンスクリーン作用と活性酸素の消去作用という2つの作用を持っています。
この大切な働きをするメラニンを減らしてしまうのが美白剤です。
ですから理想の美白剤はメラニンを同じ作用を持つべきです。

青山ヒフ科クリニックでは持続活性型ビタミンCである、L-アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩(VC-PMG)と油溶性甘草(グラブリジン)という
2つの美白剤を第1選択薬としています。
なぜならこのふたつの美白剤はともに活性酸素を取り込んで無毒化するというメラニンと同じ働きをもっているからです。

メラニンと同じ作用を持つ物質が皮膚の表面にあれば、同じ役割を果たすメラニンはなくてもすむようになります。
ですからこの2種類の美白剤を使用するということは、非常に安全であり、そして理にかなった生体反応、すなわち美白が起こるわけです。
メラニンを作るチロジナーゼなどの酵素は糖分を非常に多く含む糖タンパクです。
VC-PMGは還元作用、そして油溶性甘草は糖鎖形成阻害作用という異なったメカニズムで美白作用を発揮します。
すなわち油溶性甘草はメラニンを作る酵素の合成を抑えます。

免疫沈降法という実験を行いましたが高濃度の油溶性甘草がチロジナーゼ、チロジナーゼ関連蛋白1番の合成をおさえているために合成を示すバンドが弱くなり下方に移動しているか、あるいはバンドがほぼ消失しています。
また油溶性甘草はできてしまった酵素の活性も抑える作用があります。
これは油溶性甘草がチロシンの代わりにチロジナーゼの活性部位に結合してしまうためと考えられます。
これらのデータは私と私に協力していただいた 共同研究者によって、世界に先駆けて見つけたものです。
さてVC-PMGと油溶性甘草のような作用メカニズムの異なった美白剤を併用することにより、美白効果はさらにアップします。
このような治療法を私はカクテル美白療法と命名しました。

肝斑というシミも有名です。
このシミは女性特有のシミで男性には生じません。
肝臓の働きが悪くて起きるのではなく、茶色いレバーをあたかも両頬に貼り付けたように見えるので、この病名がつきました。
女性ホルモンの微妙なアンバランスと紫外線に対する過敏反応が原因と言われています。20代から50代の女性に生じます。
普通の方が5分紫外線を浴びても、シミは濃くなりませんが、肝斑は確実に濃くなります。
サンスクリーン、サングラス、帽子などを使用した徹底した紫外線対策が必要です。
残念ながらレーザーも紫外線と同じく、電磁波なので、レーザー照射をすることにより確実に悪化します。
各種美白剤の外用と徹底した紫外線対策により、約半数以上の方が改善します。
改善するかしないかは、紫外線対策をどれくらいするか、あるいは紫外線に対する過敏反応の程度によります。
この方にはモニターになっていただき、油溶性甘草を右頬だけに3ヶ月間外用してもらいました。
右頬のみシミがほぼ消失しています。
次に両頬に油溶性甘草を3ヶ月間外用しました。
両頬のシミはほとんどなくなっています。
さらに油溶性甘草とVC-PMGをさらに3ヶ月間外用したところ、シミが完全に消失しただけでなく、キメが細かくなり、両頬が引き締まってきました。
このように異なるメカニズムで作用するカクテル美白剤を使用することにより、美白効果は増強します。
またなぜ顔が引き締まったかというと、VC-PMGはコラーゲンの合成を盛んにする作用があるからです。
コラーゲンやエラスチンという皮膚の繊維が衰えて重力に負けて垂れ下がった状態がタルミです。
このタルミが改善したために、顔が引き締まったのです。
また、VC-PMGや油溶性甘草は共にコラーゲンやエラスチンにダメージを与える活性酸素を消去する作用があります。
そのために活性酸素のダメージがない生き生きしたコラーゲンやエラスチンが増加した結果も、顔のリフトアップに貢献しています。
外用だけで無効な場合には、電流のパワーによって、VC-PMGを皮膚の深部にどんどん入れるイオン導入を行います。
外用だけの何倍も皮膚の奥深くにVC-PMGが浸透するというデータもあります。
そして皮膚の代謝を促進し、メラニンの排出を促すケミカルピーリングを行います。
青山ヒフ科クリニックのケミカルピーリングに使用するフルーツ酸は、効果があるけれども、肌にやさしいという特徴を持っています。

私が1年かけて開発しました。
濃度も7段階あります。
顔全体を低濃度、シミの部分を高濃度という使用法も行います。
またレチノール(ビタミンA)はシワ、タルミを改善するだけでなく、メラニン産生を抑えつつ、その排出を促進するという作用を持っています。
ですから青山ヒフ科クリニックでは美白剤を徹底的に皮膚の深部に浸透させて、メラニン産生を抑え、レチノール,フルーツ酸でメラニンを持ち上げて、
すなわち排出を促進させ、そして角層まで上昇してきたメラニンを、フルーツ酸でカットするという、入れて、上げて、カットこれをガンガン行います。
もちろんビタミンA、ビタミンCクリーム、ローションや油溶性甘草クリームは医療用の極めて高濃度のものです。
それでも消えない頑固なシミにはハイドロキノンやアゼライン酸という非常に強力な美白剤を使用します。
この2つの美白剤は非常に強力な美白作用を持っていますが、時には赤み、ひりつきなどの刺激症状を出すことがあります。
ですからこのふたつの美白剤は、日本においては欧米と異なり、化粧品成分としては認可がおりていません。
医師のきめ細かな観察のもとでのみ使用される美白剤です。
肝斑以外に代表的なシミとして老人性色素斑があります。
普通、シミといった場合のほとんどに相当します。
直径数ミリから数センチに及ぶほぼ円形の黒褐色斑です。
肝斑と異なり、女性にも男性にも生じます。
私の患者さんは女性の方が多いので、私が老人性色素斑ですねと診断すると、皆さん非常にがっかりします。
しかしながら私の観察では30歳以上の方のほぼ100%の方が大なり小なりこのシミを持っています。ちなみに私の患者さんで一番若い方は高校生です。
このシミは紫外線の蓄積作用で生じます。
私たちは小学生のころは海や山に行くときでも、サンスクリーンは使用しませんでした。
そのつけが、20代、30代になって老人性色素斑と言う形で現われるわけです。
最近日本でも、欧米同様に子供用の肌にやさしいサンスクリーンが登場しましたが、私もその使用には大賛成です。
私は幼稚園に通っていたころ、日光浴をさせられた記憶があります。
紫外線は皮膚のビタミンDを活性化して、カルシウムの腸管からの吸収を促進するとされていました。
しかしながら、近年は顔と手のひらだけで、1日10分から20分紫外線にあたれば、ビタミンDの活性化には十分であることが判明しました。
ですから家に閉じこもりがちな、ご老人などごく一部の方を除いて、わざわざ健康のために日光浴をする必要は全くありません。
また日常生活でサンスクリーンを使用しても、血液中のカルシウムの濃度が正常に保たれることも判明しています。
老人性色素斑は外用剤に比較的反応しにくいのですが、レーザーに反応しやすいという特徴を持っています。
ですから青山ヒフ科クリニックではこれらのシミの方にはQ-スイッチアレキサンドライトレーザーの使用を勧めています。

このレーザーは今までのシミ用のレーザーの主役であったQ-スイッチルビーレーザーに比べて、使用後の色素沈着を起こしにくいという極めてすぐれた特徴を持っています。
しかしながらすべてのヒトが使用後に色素沈着を起こさないわけではありません。
そこで私はシミのごく一部にレーザーをワンショットだけ試験照射をします。
当院では照射前にテープやクリームで麻酔をするので、照射の痛みはほとんどありません。
また照射後にはサンスクリーンとコンシーラーを混ぜたものを外用します。
ですからコンシーラーを塗ったうえに、メイキャップをすれば、他の方にレーザー治療をしているということもほとんどわかりません。

老人性色素斑の方にレーザーを使用してみました。
もちろん照射後の紫外線対策と美白剤の外用はしています。
またレーザーを試験照射して、逆にシミが濃くなったと言う方も残念ながら少数います。
どうしてもレーザーは怖いと言う方もいます。
そのような方にはVC-PMG、油溶性甘草だけでなくハイドロキノン、アゼライン酸も含めた4種類の美白剤の外用とイオン導入やケミカルピーリングを行います。
老人性色素斑はほとんど消失しています。

また生まれつき、あるいは生後しばらくしてから出現する体質的な茶アザがあります。
生後すぐできた茶アザを消したいといって来院した方の試験照射後(アザの一番下に試験照射をしました)と全体を照射して2週間後のものです。
茶アザはほとんど消失しています。
また青アザや刺青もQ-スイッチアレキサンドレーザーで治療可能です。
ただしこれらの場合5回から10回程度の照射が必要です。
自分で墨汁を使用して刺青をした方ですが、5回の照射でほぼ消失しています。
またシミの一部は実はシミでなくホクロと言う場合があります。
このような場合炭酸ガスレーザーを使用することにより治療が可能です。
私は深いホクロでもほとんどへこみを残さずに治療することが可能です。

また毎日のお化粧で眉やまつげを整えるのが大変ということで、アートメイクをされる方もいます。
しかしもうこの眉の形は飽きたので、別の形にしたいけれどもそれができないのが、アートメイクの欠点です。
しかしながらQ-スイッチアレキサンドライトレーザーならば、1回の照射でアートメイクを完全に消してしまうことが可能です。

また眉毛は照射後、一時的に抜けたり、色が白くなりますが、必ずもとの眉毛が生えてきます。
現在は外用剤やレーザーの進歩によりほとんどのシミやアザに対応が可能です。
そしてレーザーを使用してきれいになったあとこそ、紫外線対策をしながら美白剤を使用するようにしてください。
このままでは皮膚ガンになる可能性があるといって増加したメラニンを取るのが美白治療です。
ですからメラニンの代わりになる美白剤を外用すること、これがいつまでも透き通ったキメの細かい肌を維持するポイントです。