第14回

アレキサンドライトレーザーで、ニキビの跡のクレーターが治ります



私の患者さんで長い間ケミカルピーリングをして、毎日ビタミンA,Cを外用している方がたくさんいます。
このような方の悩みで一番多いのがニキビの跡のクレーターを治したいというものです。

なぜニキビのあとがへこんでしまうか、考えてみましょう。
ニキビの際には、本来悪い細菌をやつけるリンパ球の一種である白色球という細胞より活性酸素という物質が放出されます。
この活性酸素は際には、本来悪い細菌をやつけるリンパ球の一種である白色球という細胞より活性酸素という物質が放出されます。
この活性酸素は非常に反応性が強い物質で、周りの物質を酸化させてしまいます。
酸化とはさびつかせてしまうということです。
鉄がさびついてしまうとボロボロになるように、我々の皮膚もさびついてしまうとボロボロになります。
ニキビでは白色球は真皮という皮膚の深いところで活性酸素を放出します。
なぜなら皮脂を分泌する皮脂腺が皮膚の深いところにあるからです。
ニキビの発症メカニズムの細かい点については青山ヒフ科クリニックのホームページのビタミンCでニキビは治りますを参照してください。
ニキビの組織反応は、皮膚の深いところに、皮脂腺をかこむように活性酸素を放出する好中球という細胞が多数あります14_001

このとき活性酸素により皮膚の深いところにあるコラーゲン(膠原繊維)やエラスチン(弾性繊維)がさびついてしまい、破壊、変性していまい、その部位はへこんでしまいます。
しかしながら好中球から遠いところにある皮膚の表面にある表皮はあまりダメージを受けません。
このような場合へこんだままになることが多くなります。
一方、皮膚全体がボロボロになって表皮もさびついてしまう

1)表皮角化細胞の分裂が亢進し、表皮成分が増えること
2)コラーゲンやエラスチンが増加し、真皮成分も増えること

この2つの条件がそろって、皮膚はフラットに再生します。
このような反応を上皮化反応といいます。

このような場合へこんだままになることが多くなります。
一方、皮膚全体がボロボロになって表皮もさびついてしまうと皮膚の表面の皮がむけて、ジュクジュクした状態となります。
この場合は比較的へこみが少なくなると思われます。
我々の表皮にある表皮角化細胞は普段はあまり分裂が盛んでなく、表皮の一番下の基底層から角層に達して垢になって落ちるまでに、約1ヶ月かかります。
これを皮膚のターンオーバーといいます。
しかしながら、角層や表皮角化細胞にダメージが加わると、分裂速度はあっという間に亢進します。
大勢の皆さんが擦り傷や切り傷でケガをしたことがあると思います。
大部分の方はケガのあとのへこみも、全く治っていることでしょう。
なぜなら、これらのケガの大部分は表皮の損傷を伴い、表皮角化細胞の分裂が亢進しているからです。
通常分裂の亢進は皮膚が平らになるまで継続します。
膚はフラットに再生します。このような反応を上皮化反応といいます。
上皮化反応はビタミンA、Cの外用で促進されます(図2)
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私のもとには全国から大勢のニキビの患者さんが来院します。
ニキビそのものを治したいという悩みとならんで、一番多い悩みのひとつがニキビ後のクレーターを治したいというものです。
このような患者さんにビタミンCのイオン導入、肌質にあわせた2週間に1回のケミカルピーリング、そしてビタミンA、Cを毎日たっぷり外用するという治療を1年間行うと、ニキビも治り、毛穴も閉じ、そしてクレーターも治ってしまいました(図3,4)
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私は高濃度ビタミンCが皮脂の分泌を抑制し、炎症をおこす活性酸素を消去するためにニキビや毛穴の開きが治ることは期待していましたが、クレーターも治ってしまったのには驚きました。
そのメカニズムを考えると、ケミカルピーリングに使用するフルーツ酸の角層の作用剥離作用モがあります。
これが表皮を損傷した擦り傷と同じような状態を招き、前述した上皮化反応が起こるの擦り傷と同じような状態を招き、前述した上皮化反応が起こるのではと推測しました。
ですからそのへこんだ部分のフルーツ酸の濃度を上げてみたところ、クレーターの治る速度はより速くなりました。
そしてビタミンA、Cは表皮角化細胞の分裂の増加作用だけでなく、真皮のコラーゲンやエラスチンを増加させる作用もあります。
ですからクレーターが治るのも当然です。

しかしながらフルーツ酸の濃度を上げることにより、皮膚に刺激を生じる方もいます。
そこで私が考えたのが、酸化アルミニウムの細かい粒子をへこんだところにぶつけて、角層を削るマイクロアブレーションと言う方法です。
この方法の利点は酸化アルミニウム自体が、全く作用を持っていないという点です。
ですから、高濃度のフルーツ酸が使用できない方でも、へこんだ部位にスポット的に使用することにより、高濃度のフルーツ酸を使用したのと同じ効果が得られます。
次に私が考えたのはレーザーで皮膚の表面をやさしく削るという方法でした。
これをレーザーピーリングといいます。
最近、長い波長を持つクールタッチレーザーがニキビの跡やシワを治すという触れ込みで登場しました。
メーカーの説明ですと、表皮にダメージを与えることなく、真皮のコラーゲンを増加するので、ニキビの跡のクレーザーや、シワが治ると宣伝しています。
しかしながら、あまり効果が無いという報告も学会でありました。

青山ヒフ科クリニックにもそのレーザーを使用しても、全くへこみが直らないという患者さんが来院します。
シワは真皮のコラーゲンやエラスチンという繊維が衰えて、そこに一定方向の負荷が常にかかって、できてしまった深い溝と定義できます。
私はYAGレーザーより波長が短く、メラニンに対して高い吸収率を持つQ-スイッチアレキサンドライトレーザー(Q-ALEX)を使用すれば、いいのではないかと考えました。
このレーザーはもともとシミをとる目的で、開発されたレーザーです。
高い出力ではメラニンを多く持つシミの組織に吸収され、その部位を破壊します。
でもきわめて低い出力で照射すれば、メラニンを含む角層だけでなく、同じくメラニンラーゲンやエラスチンの合成を盛んにする作用のあるレーザーであれば、当然シワは治ります。
しかしながら波長の長いレーザーが表皮にダメージあるいはエネルギーを与えないのであれば、前述した上皮化反応は起こりません。
ですからなかなかクレーターも治りにくいことになります。
ではどうしたらいいのでしょうか?

照射すれば、メラニンを含む角層だけでなく同じくメラニンを含む表皮角化細胞に吸収されて角層や細胞に軽いダメージやエネルギーを与えることができるのではと考えました。
2週間から1ヶ月に1回レーザーピーリングを行い、毎日のビタミンA,Cの外用を10ヶ月継続した患者さんの頬を図5,6に示します。
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ニキビのあとのクレーターが全く消失し、皮膚の表面もなめらかになっています。
このようにQ-AEXをうまく使用することにより、皮膚はなめらかになります。
もちろんレーザーピーリング後に皮膚がボロボロになることもなく、当日お化粧して帰れます。
図7,8の方はすこしでも早くきれいになりたいと、ビタミンA、Cの外用にてニキビの赤みやもり上がりが、ほぼ消失したあとに毎週レーザーを照射しました。
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ニキビやクレーターが治っただけでなく、フェイスラインもシャープになっています。
ここで非常に興味深いことが起こりました。
レーザーを使用して顔がきれいになった多くの患者さんが、きれいになったあとも継続してレーザーを照射したいというのです。
その理由は、ビタミンA、Cの外用だけでなくレーザーを定期的に照射すると顔がさらにたれなくなる、レーザー照射すると肌がピチピチしてくるというものでした。

いったいどうしてこのようなことがおきるのでしょうか?
そのメカニズムについてはレーザーでシワやタルミが治ります解説します。
また、ニキビ治療に対してのレーザー禁止事項はニキビ撲滅大作戦<その4>にて解説します。