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より美しい毛穴を目指して《1章: 序章 毛穴とは、これまでも理論と治療》

1章: 序章 毛穴とは、これまでも理論と治療

青山ヒフ科クリニックを受診する多くの患者さんの悩みが毛穴の開きです。
なぜ顔で毛穴が目立つのか、どういう治療をしたら美しい毛穴になるのか解説します。

顔には、約20万個の毛穴が存在して、毛穴に付属する皮脂腺も非常に多く、活性が高いのが特徴です。
太古の昔、寒い冬でも乾燥肌にならず、快適に過ごすためには十分な皮脂の分泌が必要でした。
昔は保湿クリームもなく、自分の皮脂で潤いを与えるしかなかったのです。

常に十二分な皮脂分泌を行うため、皮脂の通路である毛穴が開いて目立つようになったのです。
保湿クリームが存在し、温度コントロールも可能な現代では過剰な皮脂の分泌は美容上の問題となります。

顔の皮脂は極めて大きな皮脂分泌能力を持っています。ある程度皮脂の分泌を抑えて毛穴を目立たなくしても皮膚が乾燥することはありません。
皮脂分泌を抑えながら、皮膚のバリア機能を上げると、潤いのある引き締まった毛穴が実現します。
皮脂は常に分泌されていますが、高糖質食、高脂質食、ストレス、体内のホルモンバランスの変化などで増加します。
重要なことは、毛穴の出口では常に弱い炎症が起きているということです。
炎症は自覚できない弱いものですが、皮脂の分泌が増加すると、赤みとして認識できるようになります。高糖質食ではインターロイキン1α(L1α)という炎症を起こすサイトカインやインスリン、インスリン様成長因子(IGF-1)が血液中に増加して皮脂の分泌を増加し表皮の増殖を起こすだけでなく、毛穴の出口の表皮細胞がIL1αを産生して自覚できない弱い炎症を起こすようになるのです。
そして炎症が皮脂腺細胞を刺激して皮脂分泌を促進します。
高脂質食では血液中の増加した中性脂肪が皮脂のトリグリセリドという成分になって分泌を増加させます。
皮脂の分泌が増加すると、皮脂を餌とするアクネ菌が増加します。
アクネ菌はリパーゼという皮脂を分解する酵素を持っていて、皮脂をオレイン酸などの遊離脂肪酸に分解します。
オレイン酸は毛穴の出口の表皮細胞の増殖を促進するだけでなく、IL1αの産生を促進し、出口の炎症を増加させます。
その結果、毛穴の出口が半球状にへこむと同時に開きます。
皮脂の分泌に伴う毛穴の出口の炎症が強くなると、眼に見える脂漏性皮膚炎や酒さ、いわゆる赤ら顔になります。
炎症が長く継続すると、毛穴に一致したシミなどの炎症老化を引き起こします。

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なぜ皮脂分泌増加に伴い毛穴の出口が半球状あるいはすり鉢状にへこむのか、よくわかっていません。
皮脂の分泌が亢進すると毛穴は詰まりやすくなります。
それを予防するために、毛穴の出口に炎症を起こし、構造に変化を起こさせて、出口を開かせて、詰まらないようにしているのではと想像しています。
毛穴の開いた方を詳しく調べると、表皮の肥厚や真皮乳頭の石筍(せきじゅん)様延長が起こっていることが報告されています。
毛穴の役割は皮脂を分泌することです。
その目的に沿って毛穴の出口が開き、皮脂分泌という目的は果たせるけれども、毛穴が目立っているという現象が起こるのでしょう。

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上の方は毛穴の出口が開いてへこんでいます。
この立体構造の変化が、毛穴が目立つ大きな原因のひとつです。頬の上の部分では毛穴の出口に一致して赤みが強くなっています。このような毛穴を改善するには
1.皮脂分泌を抑制
2.アクネ菌を減らす
3.リパーゼの活性を抑制する
4.表皮の炎症を抑制する
などの処理をすればいいのです。
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皮脂分泌を抑制する甘草という植物のエキス、リコカルコンAは非常にユニークな作用を持っています。
皮脂の分泌を促進する男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素によって活性化するのを抑制するだけでなく、活性化した男性ホルモンであるデヒドロテストステロンが皮脂腺の受容体に結合するのを抑えます。
このふたつの作用で皮脂分泌を強力に抑制します。
さらにアクネ菌を低濃度で殺菌します。
アクネ菌だけでなく表皮細胞もリパーゼという炎症を起こす酵素を産生するのですが、リパーゼを抑制して、オレイン酸などの遊離脂肪酸が毛穴の出口に炎症を起こすのを抑えます。
さらにフォスフォリパーゼA2という炎症を起こす酵素を抑制します。
さらにアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)という脂肪酸合成酵素の活性を抑制して皮脂合成、皮脂分泌を抑えます。
まさに毛穴、ニキビのために存在する成分です。
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ビタミンCは皮脂の分泌を抑制し、コラーゲンの合成を促進して毛穴を引き締めます。
さらに炎症を起こすIL1αの産生を抑え、あらゆる種類の活性酸素を消去して強力に炎症を抑えるという作用を持っています。
さらにセラミドの合成を促進して皮膚のバリア機能を増加させます。
ビタミンCが皮脂分泌を抑える理由として、

1)皮脂の原料になる血液中の糖質や中性脂肪を低下させる作用
2)皮膚のセラミドの合成を増加させバリア機能を上げる作用(バリア機能が上がり水分の保持力が上がれば、同じ作用を持つ皮脂の量は少なくて済みます)
3)IL1αの産生を抑え炎症を抑制することが関係しています(炎症は皮脂分泌を促進します)

皮脂分泌はDNAやRNAが関与していないので、皮脂分泌抑制効果は数十分で出現します。たった1回のビタミンCイオン導入で毛穴が瞬時に閉じる方もたくさんいます。
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ビタミンCとリコカルコンAを同時に外用すると開いて流れた毛穴は閉じてキメが回復します。
またニキビや赤ら顔も改善します。
ビタミンCとリコカルコンAはアンチアクネローションや毛穴レスローションに配合されています。

第2章へ続きます